トップ種と実モノ語り株式会社匠工芸 代表取締役 桑原義彦さん
株式会社匠工芸

個性的なフォルムに職人技と
北の自然を閉じ込めた
マッシュルームスツール

桑原さん

株式会社匠工芸 代表取締役 桑原義彦さん

  • たくみこうげい くわばらよしひこ
  • 2019年に創業40周年を迎える家具メーカー、匠工芸の創業者。より良いモノづくりを実現するため「脱工業団地」を掲げ、25年前に旭川から東神楽へ移転。以来、ナチュラル&クラフトマインドをテーマに、手仕事にこだわった家具づくりに取り組んでいる。

認定商品:マッシュルームスツール

取材日:2018年9月4日

伝統的な手仕事を育む美しき箱庭のまち

道北の豊かな森林資源を背景に、古くから家具づくりの里として発展してきた旭川エリア。東神楽町には、1979年に家具職人であった桑原義彦さんが創業した匠工芸があります。

風景の写真
説明する桑原代表
株式会社匠工芸 代表取締役 桑原 義彦さん

「上川の中では最も小さな東神楽は、大雪山系と丘、川、田園、花がぎゅっと詰まった箱庭のようなまち。その里山らしい環境が、私たちが目指すモノづくりにぴったりなんです」と、桑原さん。現在、約40人の職人と技術スタッフが、田園の工場で伝統的な手仕事を大切にした家具づくりを行っています。移転から25年を経て、出荷される約7割が、のびやかな環境から生み出された自社企画製品になりました。

マッシュルームスツールの写真

今注目の「マッシュルームスツール」

匠工芸は近年、社外デザイナーや企業とのコラボレーションから生まれた個性豊かな家具でも注目されています。種と実セレクト認定の「マッシュルームスツール」も、その一つです。インテリア小物の企画製造を手掛けるアッシュコンセプト株式会社とのコラボ企画で生まれ、「匠工芸」の代名詞ともいえる人気商品に成長しました。

マッシュルームスツール組み立て前の写真

北海道産素材への徹底的なこだわり

「今回、種と実セレクト限定バージョンとして、北海道に徹底的にこだわったモノづくりをしました。フレームには道産タモ材、座面にはエゾシカの皮を採用しています」と桑原さん。エゾシカの原皮は、1頭当たりから使える量が限られ、扱いも非常に難しい素材。しかし、北海道の自然を感じてほしいとあえて採用し、原皮の荒々しい質感を残して加工しました。「さらに、パッケージも従来のデザインをベースに、種と実セレクトのマークを入れた限定版。記念品や贈り物にも、ぴったりの商品に仕上がりました」。

木を裁断してる様子
組み立て加工の様子
座面の調整の様子

丸く愛らしい座面に、シャープな細いフレームが印象的なマッシュルームスツール。ほかの家具同様、シャープな面の取り方を大切に、さわり心地などに違和感がないか、熟練の職人が細心の注意を払って仕上げています。「とてもシンプルなフォルムだからこそ、仕上げが大事なんです。この一脚には、匠工芸が長年培ってきた職人技が凝縮されているんですよ」と、桑原さん。
2019年、71歳になった桑原さんは、これからの生産現場を支える人づくりに力を注いでいます。「100年生きた木を100年生かすモノづくりは、工業製品とは違います。自然をどう生かすかを考える仕事ですから、手先だけではなく、五感を働かせないと。そのために、若い人たちができるだけ良いものに触れ、世界にも目を向けられる環境を整えることも私の大切な仕事です」。桑原さんは、独立した職人を支援するために敷地内に小規模な工房を設ける計画も温めているそう。匠工芸が蓄えてきたモノづくりの技術と精神は、こうした場からも後進へと伝えられていくことでしょう。

種と実の焼印
説明する桑原さん
お店の中の桑原さん

これからの展望

大地にこぼれた種がやがて芽吹き、若木になり、やがて森は深く育っていく。種と実セレクトのマッシュルームスツールもまた、豊かな技術の森を育む一粒。「マッシュルームスツールに続く第2、第3の種も、うちらしいものを発表したいと思っています。楽しみにしていてくださいね」。桑原さんはにこやかに語りながら、自ら大切に育てているミズナラの幼苗をそっとやさしく撫でました。

作業の様子写真

作業の様子

工房の写真
作業道具の写真
職人の写真
アニマルスツールの写真
アニマルスツール制作の様子
ショールーム写真
匠工芸ショールーム