トップ種と実モノ語り前田牧場 代表 前田哲也さん
ハンバーグのイメージ写真

牛と共にある日々と
食卓から生まれた
自家肥育和牛100%のハンバーグ

前田哲也さんの写真

前田牧場 代表 前田哲也さん

  • まえだぼくじょう まえだてつや
  • 淡路島出身の祖父が家畜商として旭川市に移住。昭和40年に東神楽に移った父が開いた牧場を継ぎ、現在200頭の乳用牛と繁殖用肉用牛40頭を飼育。15年ほど前から自家肥育の和牛の食肉販売も数量限定で手掛けている。

認定商品:国産黒毛和牛ハンバーグ

取材日:2018年4月26日

前田牧場の敷地内写真

東神楽は知る人ぞ知る
ブランド和牛の故郷

東神楽には、町民が営業日を待ちわびる直売所があります。年に1日だけ店開きをするその店は、和牛の繁殖・生産をしている前田牧場の敷地内にあります。

子牛の写真

この牧場で生まれた黒毛和種の子牛の多くは、有名な産地のブランド和牛の「素牛」(もとうし:肥育開始前、または繁殖牛として育成する前の子牛)として出荷されていました。しかし、15年前「和牛本来の豊かな味わいときめ細やかな肉質を、地元の人にこそ知ってもらいたい」と考えた代表、前田哲也さんは食肉販売を開始。前田さんが1年以上かけて育てた雌牛の肉は、晴れの日の食卓にぴったりと、年々口コミで評判に。歳末の直売日には100人ほどが行列をつくるまでになったといいます。

説明する前田代表
前田牧場 代表 前田哲也さん

一度食べると、翌年にまた開店めがけて駆け付けたくなる。その味の決め手は、飼育法にありました。牧場で飼育されている40頭の母牛は、冬季はゆったりとした牛舎で、春から秋は放牧地で終日過ごしています。大切なのは、牛たちにストレスを与えないこと。そして、肉に旨みを与える配合飼料を厳選し、しっかりと栄養管理をして育てるのが、前田さんの流儀だそう。「10年前により良い食餌に替えたら、地元のお客さんから味が良くなったといわれ、驚きました。食餌が肉質や味わいに直結していることを改めて認識しました」。

ゆったり過ごす牛の写真
牛を見つめる前田さんの写真

手塩にかけて育てた牛を丸ごと活用するために

食肉の直売を手掛けるようになった前田さん。健やかに育った牧場の和牛は、前田さん家族に部位の特性とともに料理の楽しさを教えてくれました。「直売ではサーロインやロースが人気ですが、それぞれの特性を生かした料理法で、どの部位も美味しく味わえるとわかり、もっと有効に活用したいと思いました」。
そして、5年ほど前に味が濃く硬いネックやスネと、和牛独特の風味をたたえた脂の多いバラをミンチにして合わせ、家庭で手軽に食べられるハンバーグを商品化。「うちの牛肉を生かす配合にこだわりました。豚肉を混ぜると柔らかくなり、コストも下がります。でも、和牛本来の食感や味わいを楽しんでもらいたいので、敢えて合い挽きにはせず、自家生産の和牛100%にこだわりました」と、前田さん。

牛舎の様子

前田さんの写真

そう聞けば聞くほど、食べてみたくなるのが人情。しかし、生産量が限られているため通信販売や小売りには対応できず、入手は至難の業。しかし、近年は町内外の人気に後押しされ、牧場で肥育する頭数が増加しているそう。年に一度の直売のほか、東神楽で催されている町やJAのイベント時には、ハンバーグや焼肉用の肉を数量限定で出品。前田さんの和牛は、東神楽の“美味しい看板”となり、町外からもそれを目当てにたくさんの人が足を運ぶようになりました。さらに、今年は横浜で開催されたイベントにも特別出品され、道外にも東神楽の食の魅力をアピールしました。「こうしたイベントへの参加が、東神楽に足を運んでいただくきっかけになったら、生産者として、町民として嬉しいですね」と、前田さんは笑顔で語ります。

これからの展望

全国区のトップブランドに負けない品質を誇る自家生産の和牛を、丸ごと活かしきりたい。生産者としての切なる願いをかなえるため、今も前田さんの暮らしに根付いた探求は続いています。「種と実セレクトの仲間には食肉加工のプロがいます。今後は一緒にローストビーフやビーフシチュー、カレーなどのオリジナル総菜を開発したいと思っているんですよ」。前田さんの和牛加工品から、幻の…という冠がなくなる日も、そう遠くない将来にやって来そうです。

前田さんの写真
牛の様子写真
作業中の前田さん
たわむれる牛の写真
子牛の表情がわかる写真
牛舎の様子を確認する前田さん
ホルスタインの写真