トップ種と実モノ語り有限会社 ロックドリーム・ファクトリー 代表取締役 矢萩修さん
ミニトマトを手に持つ写真

小さな果実に大きな夢が
ぎゅっと詰まった
彩り豊かなトマトたち

矢萩修さん

有限会社ロックドリーム・ファクトリー 代表取締役 矢萩修さん

  • やはぎおさむ
  • 東神楽町の東聖六区で農業を営む矢萩家の3代目。農場の名は、この地名「六区」に由来。旭川市の青果仲卸会社勤務を経て、後継者として就農。父親と共に、水耕栽培で売れるトマトづくりに取り組んでいる。

認定商品:トマト

取材日:2018年6月25日

つくるだけの農業から売れる農業へ大転換

約300坪のビニールハウスに一歩、足を踏み入れた瞬間、全身を包んだのはトマト特有の青い香り。収穫終盤を迎えたミニトマト「千果」は2mほどに育ち、ハウスの中に深い森をつくっていました。真っ赤に色づいたトマトをもいで噛むと、青い香りと共に甘さと酸味が絶妙なバランスで弾けました。

ビニールハウスの中の様子

「千果は甘みが強くて、光沢のある見栄えのする品種。それでいて、実割れがしにくくて、収量も多い。千果は、うちの推しメンならぬ、推しトマトなんだよね」と、主の矢萩修さんは人懐こい笑顔を浮かべて、そう語りました。

生い茂る緑の中を軽やかな足取りで歩く矢萩さんは、農家の3代目。物心ついたころから農家の後継ぎとして育てられてきたそう。ところが、若いうちに違う世界も見てみたいと、矢萩さんは大学を卒業すると旭川の青果仲卸会社に入社。

説明する矢萩さん
代表取締役 矢萩修さん

5年ほどの勤め人生活で、商売の面白さを知り、一生の宝となる異業種の人脈を得ました。「僕が知っていた農業は、ただつくって、出荷するだけ。それが当たり前と思ってきました。でも、仲卸の仕事で出荷の先の世界を知り、僕自身も販売まで考えた農業をやってみたいと思いました。今から23年前のことです」。

矢萩さんの写真
収穫されたミニトマト1
収穫されたミニトマト2

相場の世界で生き抜くために
目指したのは商品価値の高いトマト

後継者となる覚悟を決めた矢萩さんは、農協主導で進められていたトマトの施設栽培の事業に参入。溶液を含ませたロックウールにトマト苗を植えてハウスで育てる栽培法は、新しい農業を模索していた矢萩さんにとって、まさに運命の出会いでした。
「春先の内地物トマトに対抗して地物としていち早く出荷できるのが、魅力でした。また、土を使わないので連作障害や病気の発生が抑えることができ、衛生的。トマトの成長を見ながら溶液の量を調整でき、思い描いた仕上がりに近づけることができます。僕の農業人生をこれに賭けてみようと思いました」。

現在、矢萩さんは敷地内に10棟のハウスを建て、年間120~30トンのトマトを生産しています。その8割以上がミニトマトです。12月に種をまき、氷点下20度の厳冬期にハウス内で育苗。そして、北海道のトマトの出荷が最も少ない3月から収穫を始めます。地物のトマトが豊富に出回る夏は、ももたろうゴールドなどの珍しい大玉や、中玉のフルティカと少量のミニトマトを作りながら、秋からの本格的なミニトマトの生産に備えているそう。
「トマトは採れだしたら止められないので、どう収穫量と販売量をコントロールするかが腕の見せ所。今は、フルーツトマトが流行りだけど、収量が少なくなるのが難点。僕は一般的なトマトとフルーツ系の中間を狙った味、収量を目指して管理しています。美味しくて収量が上がらないと、ビジネスの強みにならないからね」。

現在、矢萩さんは自らが育て、食べて納得した13品種を栽培。さらに売れるトマトづくりのため、国内の種苗会社の新しい種を見つけては、試作を繰り返し、次の看板商品となる品種を探しています。「うちのマークがついたトマトは、どれを食べても美味しいと多くの人に知ってもらいたい」と語る矢萩さんは、種と実セレクトの認定がそのきっかけになることを期待しています。

収穫の様子
パッケージ
収穫の様子

これからの展望

寝ても、覚めても“トマトひと筋”の矢萩さんの永遠の課題は、より美味しいトマトに仕上げ、生鮮食品であるトマトを品質、価格ともに最高の状態で販売すること。「餅は餅屋っていうでしょ。最近は農家の六次化が流行っているけれど、僕は栽培のプロに徹したい。だから、話がしたいんだよね、トマトと…」。その切なる願いをかなえるために、今日も矢萩さんは緑が波打つハウスを歩き、トマトのひそやかな声が聞こえてこないかとじっと耳を澄ませています。

矢萩さん
ビニールハウスの様子
トマト写真
ミニトマト
ビニールハウスの様子
ロックドリーム・ファクトリーロゴ袋
矢萩さん